アートの歴史
古代 = 神々の時代(〜5世紀)
- 建築の装飾
- 自分たちのアイデンティティを内外にアピールするための政治的な役割
- 神の物語と人間の歴史を結びつける
例: パルテノン神殿
中世 = キリスト教の時代
- 表現したい内容((聖書)の言葉)を表すためのシンボル(書物と等価)
- 例: ユリの花 = 希望・清純の象徴
- 大半の人は文字を読めないため、聖書を読む代わりに絵画を見て勉強した
- 「〇〇はこういうもの」というイメージを元に、モデルなしにそれを反復的に描く
例: 「若いキリスト」サン・ヴィターレ聖堂
ルネサンス(14世紀)
ジョット(13世紀末)
- 記号的な絵 → 視覚的(自然)な絵
- 読みもの → 目で見て楽しむもの
- 実在しているものを描く
例: 「荘厳の聖母」ジョット
遠近法(1420年ごろ)
- ブルネレスキが確立
- 現実味がある
- 遠近感の表現
- 鑑賞者の視線の(消失点への)誘導
- 見上げていないけど見上げているかのような感覚
- 自然と注目される場所が一意になる
例: 「聖三位一体」マザッチオ: 遠近法を利用した世界初の絵画
ルネサンス(14〜16世紀)
-
宗教的な価値を離れた自由な表現が生まれにくかった中世からの脱却
-
(古代にならい)人間的な価値観の復活
-
合理性が重視されすぎて、現実を離れて理想的な姿をしている
-
遠近法
-
明瞭な輪郭線
-
多数のものの統一感
-
層構造: 前列・中列・後列と分かれている
-
左右対称
-
永遠
例: 「アテナイの学堂」ラファエルロ
マニエリスム
- ルネサンスからバロックへの移行期間
- 体が上下に伸びる
例: 「イエスの復活」エル・グレゴ
バロック(17世紀)
-
構図ではなく、光の当たり方で視線を誘導
-
感覚に頼る(宗教改革でプロテスタントの原点に帰れという主張に対抗するため)
-
曖昧な境界
-
渾然一体、流動的
-
連続的な奥行き
-
運動性
-
瞬間
例: 「最後の審判」ルーベンス
例: 「夜警」レンブラント
ロココ(甘美なバロック)
新古典主義(ルネサンスlike)
ロマン主義(バロックlike)
近代 = 人間の時代(16世紀〜)
モダニズム(19世紀)
写実主義(レアリスム)
- 写実的
- 描かれているものがリアル(宗教等ではない)
- 背中を向けている人やぼーっとした顔の人もいる
例: 「オルナンの埋葬」クールベ
モダニズム
- 生身のモデルを見ながらその姿を理想化したり、複数のモデルのいいところを足し合わせたりしない
- 生々しい人間の姿
- 女は女神ではなく人間の女性として描かれる
- ヌード(理想化された裸体)ではなく、ネイキッド(単に服を着ていないだけ)を描く
- 一時的なもの、うつろい易いもの、偶発的なものに注目
例: 「オランピア」マネ
印象派
- チューブ絵の具の発明によりアトリエ外で描くことができるようになった
- 太陽の光の元で見える物体の様子を描くことができるようになった
例: 「印象・日の出」モネ
例: 「ムーラン・ド・ギャレット」ルノワール
例: 「サント=ヴィクトワール山」セザンヌ
キュビスム
-
視点が1つではない
-
形の単純化
- キューブのような = キュビスム
-
時間の経過を1枚の絵にしようとした?
-
キャンバスの背後に空間をつくる(窓のかわりの)絵ではなく、あえてバラバラの視点にすることでそれぞれの個体性を際立たせている
例: 「アヴィニヨンの娘たち」ピカソ
例: 「台所のテーブル」セザンヌ
例: 「レスタックの高架橋」ブラック
抽象画
- リアリティの追求は写真に任せ、絵画は別の可能性に向かう
- コンポジション: 構成して作り出す
- 文化によらず共通で持っている人間特有の感覚を刺激する絵の追求
- ミニマムな装飾のないものも美しいとの発見
例: 「印象Ⅲ」カンディンスキー
例: 「サッカー選手の絵画的リアリズム 4次元の色塊」マレーヴィチ
例: 「ブロードウェイ・ブギウギ」モンドリアン
例: 「レッド&ブルーチェア」へーリット・トーマス・リートフェルト
現代アートの歴史
Q. なぜピカソやデュシャンが評価されているのか?
A. 「アートとは何か?」「アートは美しくないといけないのか?」等を疑問に思い、アートのパラダイムシフトを起こしたから。
近代以前
ルネサンス画家
- 画家 = 「依頼」されたものを描く職業。
肖像画(貴族)、宗教画(教会)、風景画(裕福な市民)
- 正解 = 現物に忠実であること。
転換点
カメラの登場
- 正確に描くことはカメラには敵わない = 「今日を限りに絵画は死んだ」
- アートの意義が失われてしまう?!
→ 20世紀画家の登場
アンリ・マティス
- 正確に描くこと = アート? 【否定】
パブロ・ピカソ
- 遠近法 = リアル? 【否定】
ワシリー・カンディンスキー
- なぜ具象物を描くのか? 【否定】
マルセル・デュシャン
- アート = 視覚芸術? アート = 美しい? 【否定】
ジャクソン・ポロック
- 絵画はイメージを映し出すもの? 【否定】
アンディー・ウォーホル
- アートと非アートを区別するものとは? 【否定】
結論
- アートは存在しない? アーティストがいるだけ?
現代アートの楽しみ方
- 現代アートは、「美しさ」や「価値」、「この作品の存在する意味」を一緒に考えてほしいというメッセージが形になったものである。
- 一方通行に受け取る(知識・解説の再確認)だけでなく、アーティストとアートを通じて対話しないといけない。
※ 感性の豊かさはタネの多さに比例する部分もある。
デザインとアートの違い
- デザイン: 目的を達成する手段であり、他人によって評価される。
- アート: 表現することが目的であり、他人の評価は関係ない。
デュシャン
アートは目で見て楽しませるだけでなく、考えさせるもの。
岡本太郎
芸術とはここちよくあってはいけない。 ここちよいというのは、自分程度のものだからここちいいのだ。
鏡は自分の内面と対峙するためにある。 自分自身の表情や仕草は色々教えてくれる。 外見を気にするだけではつまらない。
徹底的な対決こそ、本当の協力なのだ。 同調・妥協は何も生み出さないし、不潔である。
花はきれいだ。しかし美しいと思わない。 いかにも喜ばれたい好かれたいというポーズがどうもうれしくない。 自分は自分の信念に従って強く生きてゆくというストイックな気配が花には見られない。
コンセプチュアルアート
コンセプチュアルアートにおいてアイデアないしコンセプトは作品の最も重要な側面である。 全ての計画や決定は事前に行われ、実際の作品は取るに足らない事柄となる。
ゲリラガールズ
女性がメトロポリタン美術館に入るためには裸にならないといけないのか?
見るべき絵画
- アヴィニヨンの娘たち: パブロピカソ
- アートって美しく描かないといけないっけ?
- 秘儀荘「ディオニュソスの秘儀」: 作者不明
- 古代ローマのポンペイにもアートが?! 時代を超えたアート。
- 生フランチェスコの伝説: ジョット・ディ・ボンドーネ
- 宗教画を人間らしく描くのってタブーなのに…
- プリマヴェーラ(春): サンドロ・ボッティチェリ
- 制作者(アーティスト)ファーストで、アートを商品から作品へ。
- 最後の晩餐: レオナルド・ダ・ヴィンチ
- 劣悪な環境の中の奇跡。
- セザンヌ夫人: ポール・セザンヌ
- 貴族を権力を誇示するための絵ではなく、ありのままを描いてみた。
- バルコニー: エドゥアール・マネ
- 娼婦の裸体を描くというタブー。
- 大壁画「睡蓮」: クロード・モネ
- 印象派の語源であり、アトリエではなく、「外」で描く。
- エトワール: エドガー・ドガ
- 肖像画とかポーズではなく、ある一瞬を切り取ったかのような。
- 星月夜: フィンセント・ファン・ゴッホ
- 生前認められなかった悲運のアーティストの最高傑作。
- アデーレ・ボロッホ=バウアーの肖像 Ⅰ: グスタフ・クリムト
- ナチスなどによって紆余曲折あった絵。
- 真珠の耳飾りの少女: ヨハネス・フェルメール
- 感情のゆらぎをたくみに切り取り、絵にしたが、状況設定がわからない絵。
- ブリオッシュのある静物: ジョルジョ・モランディ
- 同じような絵を同じように描く、それでもすべての絵は違う、人間のように。
- マドリッド、1808 年 5 月 3 日: フランシスコ・デ・ゴヤ
- 世紀の一瞬を切り取った報道写真のような絵であり、戦争を悲劇として描いた最初の画家。
- ダンス: アンリ・マティス
- 圧倒的に色彩が全てであり、色が人を驚かした。
- 夢: アンリ・ルソー
- 死んでから評価された画家その 2。
- ゲルニカ: パブロ・ピカソ
- 反戦の象徴。
- おまえの口に口づけしたよ、ヨカナーン: オーブリー・ビアズリー
- タブーに挑んだ画家。
- 黒の正方形: カジミール・マレーヴィチ
- 絵画が描いているものではなく、絵画そのものに注目。
- Number 1A, 1948: ジャクソン・ポロック
- 絵画を真上から描く視点。キャンバスを立てるのではなく横にする。
- シーグラム壁画: マーク・ロスコ
- ロスコ一色しか認めない。
- テワナ衣装の自画像、あるいは私の考えの中のディエゴ、あるいはディエゴへの思い: フリーダ・カーロ
- 一般公開されたそのアーティスト自身のアトリエに行くのもいいよね。
- 聖マタイの召命: ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ
- 光で照れされると別の側面がでてくる、今この瞬間を!
- オルナンの葬儀: ギュスターヴ・クールベ
- 個展を初めて開いた人?
- 叫び: エドヴァルト・ムンク
- 思ったとおりに表現する+心象風景を描く、叫びに耳を塞いでいる絵。
- 道: 東山魁夷
- 太平洋戦争中に死を目前にしてからこそ。
参考文献
- 「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考、末永幸歩
- 「現代アートをたのしむ」、原田マハ、高橋瑞木
- これから: 岡本太郎の書、岡本太郎
- アート鑑賞、超入門! 7 つの視点、藤田令伊
- いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画、原田マハ
- 感性でよむ西洋美術、伊藤亜紗